2008年12月10日水曜日

グローバル化5

グローバル化に背を向ける日本


 ここまで書けば、なぜ日本がグローバル化に背を向けるのか理解できるだろう。グローバル化は日本を豊かにしない。グローバル化はアメリカが世界の強国として地位を確保するための手段だからである。昨年(平成19年)ブルドック・ソースの株をスティール・パートナーズ社がTOB(株式公開買い付)を行おうとしたとき日本は裁判所も、政府も、財界も、企業も、従業員もこれを拒否した。グローバル化された国際企業の中で、このことは大きな意味がある。本来企業の経営はどこの国の誰が担当しようと、上手に経営できるものがやればよいことなのである。日産自動車はルノーが経営しているし、コロンビア映画はソニーが経営しているのだ。それだからと言って、日産がフランスの自動車会社で、コロンビア映画が日本の映画会社だとは誰も思わない。ブルドックのように優良企業で株価の安い企業は、もっと経営の上手な経営者に任せたなら、株価も上がり国際的な企業に成長できるのだ。でも、日本はそれを拒否した。スティール社は、その決定を信じられない表情で聞いていた。それ以降、外資は日本をパスするようになった。ジャパン・パッシングである。日本経済は外資で潤っている。外資が入らなければ日本の成長は低いものになってしまう。実際現在はそうなっている。でも日本はグローバル化を受け入れたくないのである。グローバル化は日本的経営システムを破壊する。日本的アイデンティティを失わせる。だから、第二の「鎖国」とも受け取れる方法をはじめた。小泉首相が改革路線でグローバル化を推し進めることに全力を投入した。福田首相は政策的に反小泉であることがはっきりした。間にはさまった安倍首相は、お腹が痛くなって首相を辞めた理由はその辺にある。日本は本当にグローバル化を受け入れないのだろうか。グローバル化を受け入れない日本は、世界から孤立し低成長経済を甘受しなければならない。でも最後の勝者は誰になるかわからない。

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